北国の春♪

掲載日:2016.04.28

歌を忘れていたカナリアのような私でさえ思わず口ぶさみたくなる”北国の春”。 

肌に感じる風は冷たくはあるけど、小鳥たちやウグイスの鳴声を耳にしたり若草を目にすると心はピンク色に。 
札幌は既に桜が咲いて華やかな装いに染まっているけど、花茶の庭の桜は、あと一歩の開花です。 

窓から見える大木のこぶしの木。 
今年は、花数が少なくて朝陽に輝いている様子が見えませんが、私は毎年儀式のごとくこぶしの木に触れたくなります。 

たわわというくらい沢山の枝をつけて両手を広げて花を咲かせてきた古木で、幹の元には野生動物の穴倉のような穴も有るほどです。 
私の腕を回して2回以上はあります。 
その幹に両手を当てて温かさを感じると私の儀式は終わり。 

嫁いで来た時から、ずーと存在感のあったこぶしの木に、今年の作物の占いを問いながら仰いできました。

 

「偲草」 

先日、夫の釣り仲間から釣った魚を頂いた。 
夫の釣り上げてきた魚の自慢話を聞きながら食べてきたけど、もう、そういう事も無く黙々と食べる。 
スタッフ達は、夫を偲びながら食べたよと言ってくれた。 

その釣り仲間の方から頂いた詩の本「偲草」は、昨年の記録らしい。 
夫の釣りの様子が克明に書かれていた。 

好きな冷酒をチビリチビリと飲みながら釣り糸を垂れていたらしい。 
無関心だった私にも、やっと、夫がどれほど楽しんでいたかが冊子の中から読み取れた。 

こんな風に夫を想い詠ってくれる釣り仲間がいて良かった、嬉しい。 
亡くなる4日ほど前も釣り仲間と新年会をしただけに、友人たちに与えたショックは大きかったようです。 

「波間に竿を流したので、きっと、今日は魚釣りをしているよ。」 
その姿は、今は涙を誘うけど、きっと、竿を得て好きな酒を飲みながら喜んで釣っていると思う。