父のこと

掲載日:2013.12.03

父のこと

「川渕さん、この人は誰だか判る?」と、問う看護婦さんに
「僕の愛妻よ。」
と、ジョークを交えて笑いながら言う父になったと実家の弟から電話があった。
見事な回復ぶりと嬉しく思う。
そんな父を倒れた7月以来、初めて我が家へ連れて帰ったという。
残念な事に、自分の家が判らない。何処へ連れて来られたのか判らない様子。
あんなに可愛がっていた愛犬にも反応を示さなかったらしい。
それを聞いたとき、涙が出た。
父の回復を望みながら一喜一憂をしながら見守る家族と私。
今日から新しい介護施設へ入居が決まり、後ろ髪引かれることなく施設へ向かったという。
我が家を忘れている事は、ある意味で幸せな事かも知れないと思えた。
自分の妻を忘れてない事だけは、すごいなぁと思う。
今度、私を見て「む・す・め」と、判ってくれますように。

寒くなってあんなに外出していた大ちゃんも、ストーブの傍で甘ったるい顔をして寝転んでいます。